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【事後レポート】Tales & Co. 会社説明会開催!「どんな会社?」「何やってるの?」に、答えました。

Tales & Co.株式会社の会社説明会をYouTubeとXスペースで配信しました。登壇したのは、代表取締役社長の萩原猛と、取締役でnote株式会社のCEOでもある加藤貞顕。

この記事では、Tales & Co.の設立背景、業務概要、今後取り組んでいきたいことなど、説明会当日にお話ししたことをピックアップしています。


会社設立の背景

社名「Tales & Co.」に込めた想い

萩原  当社は、物語とクリエイターの可能性をさらに広げるべく、note株式会社の100%子会社として設立しました。私たちの仕事は、クリエイターが生み出した物語、企画、原稿などをお預かりし、さまざまなメディアと連携をしながらメディアミックスを実現させること。クリエイターと各媒体・メディアをつなぐ、ハブのような役割を目指しています。

社名の「Tales & Co.」は、直訳すると「物語とその仲間たち」。この「仲間たち」には、クリエイターや今後ご協力いただくメディアのみなさまも含まれており、双方がよきパートナー関係を結べるようにという想いを込めました。

私たちはクリエイターの意志を尊重しながら、その代理人として作品を売り込んでいく。そして、お預かりした作品をメディアの方々とも協力して、小説、漫画、音声メディア、映像メディアなど、さまざまな形態で世の中に届けていく。これらを私たちの使命として、全力で取り組んでいきます。

Tales & Co.株式会社 代表取締役社長 萩原猛

なぜ、noteの子会社に?

加藤 2014年4月にメディアプラットフォーム noteを立ち上げてから10年が経ちます。おかげさまで、130万人を超えるクリエイターにご利用いただき、投稿だけでなく、記事の有料販売やサブスクリプションで収入を得る方の声なども、よくお聞きするようになりました。

また出版社や放送局と連携して「創作大賞」などのコンテストを開催し、書籍・映像化といったクリエイターのデビューの道をつくるような取り組みも行っています。しかし、これまで我々が手掛けてこなかったことがあるんです。それは、直接クリエイターと物語をつくることです。以前からこの点について、豊富な編集経験を持つ萩原さんと「取り組んでいきたい」と話しており、現在に至りました。

Tales & Co.株式会社 取締役 / note株式会社 代表取締役CEO 加藤貞顕

萩原 私は出版社で、編集者として数百冊を担当し、映像化などのメディアミックスにも関わってきました。また、いくつかの小説レーベルや小説投稿サイトの創刊を担当し、編集長もやらせていただいた経験があります。その後独立して7年が経つのですが、この間出版社での経験を武器に、オリジナルアニメの原作・脚本、ゲームのシナリオ、朗読劇の脚本など、幅広いメディアの企画に作家さんと携わってきました。そして、こうした活動を続けていくと、それまでお仕事をした経験のなかったクリエイターさんからも「企画を見てほしい」「一緒に新しいジャンルで仕事をしてみたい」などの声をいただくことが増えてきたんです。もちろんありがたいことなのですが、私1人で対応するには物理的に限界がきてしまいまして。それを、組織やシステムで突破できないかと思ったことが、私がnoteに参画した一番の理由です。

出版社は「本をつくるプロフェッショナル」で、作家は「物語をつくるプロフェッショナル」。そうなると、作家が描きたい物語のなかから、どうしても本からはみ出る作品も出てきてしまいます。そうした作品を形にするため、これまでnoteが蓄積してきた実績や関係性は大きな武器になると考え、noteの子会社として立ち上げることになりました。

Tales & Co.の業務とは?

萩原 ここからは私たちの具体的な業務についてお話しします。大枠として、5つを掲げました。

萩原 1つめは、「クリエイターから企画や作品をお預かりして、出版社や配信プラットフォームなどの、さまざまなメディアにプレゼンを行う」業務です。

すでに多くのメディアとお会いしていて、弊社との提携について、各社様ともかなり前向きなリアクションをいただいています。そのなかで、お預かりした作品リストを手に、各社様の需要とマッチしそうな企画を具体的に提案している段階です。結果、先方が興味を持つようであれば「作家さんも巻き込んで具体的に話を進めましょう」となりますし、「いまの内容のままだとちょっと合わないけれど、こういう方向にできるならいけそうですが、どうでしょう?」というリアクションでしたら、その旨をクリエイターにフィードバックした上で、対応の可否を判断いただきます。

必ずしもお預かりしたものすべてが実現できるとは言えませんが、それなりに編集者としての経験もある私たちが「これはおもしろい!」「形にしたい!」と思った企画については、成立に向け、積極的に推進していく予定です。また、お預かりする時点で「どんなジャンルで実現させたいのか?」などを伺っていますので、ご紹介の際にはそのご希望も加味します。

2つめは、「お預かりしたものを、Tales & Co.で作品化する」業務です。これは、Tales & Co.内でコミックやボイスドラマ、グッズなどを制作し、SNSやイベント、販売プラットフォームなどを用いて、最短で作品を世に出す試みです。「これはミニマムの体勢でもいますぐに出すべき」「自社企画ならではの自由な裁量のもと展開することが最適である」と思う企画については、このルートも選択肢に入りますね。

加藤 先に自主制作をしてから、メディアへ営業という順になるケースもありますよね。すばやく企画を立ち上げて、自主制作でクリエイターとご一緒して、それを商業化、映像化していく。実際にメディアの方々と打ち合わせする際に、「企画だけではわからない」と言われることも結構ありますから、このルートもおもしろいと思います。

萩原 3つめは「メディアの要望を聞いて、企画や作品を出す」業務です。実は我々がいろいろなメディアとお話をするなかで、「こういう方向の作品が欲しい」「このジャンルを強化したい」というようなご相談を、かなりいただきます。

そのような具体的なお題がある場合は、Tales & Co.にクリエイター登録いただいている方々にクローズドの形で公募を行う予定です。集まった企画は依頼先にお持ちし、選考にて評価の高かった企画については、成立に向けて進めていくことになります。

続いて4つめ。「成立した企画のギャランティーなどの交渉について、我々が代行する」業務です。私自身、さまざまなメディアでのお仕事を経験してきましたので、相場観のようなものは把握しているつもりです。その知見を軸に、クリエイターのみなさんが納得のいく契約締結ができるよう、条件面からスケジュールの調整まで、企画が円滑に進行できるようサポートをいたします。また、より専門的な法律周りのご相談に対しては、希望に応じて信頼できる専門家をご紹介します。これはあくまでサービスとして考えているので、弊社が間に立ってマージンを取るつもりはありません。

最後は、「クリエイター向けの交流会やイベントを開催」ですね。noteでも創作に役立つイベントなどを開催していますが、それらのイベント情報をご紹介をするだけでなく、登録クリエイターのみが参加できる、より実践的なトークイベントやワークショップなども考えています。

弊社にご登録いただいているクリエイターは、よりプロ志向で仕事として物語をつくっていきたい方が多い印象です。このようなイベントを通じて、そういった方々のスキルアップに寄与できればと思います。なお、Tales & Co.初のイベント「Tales Open Door」の開催が、8/18(日)に決定しました。くわしくは下記をご覧ください。

この1ヶ月半と今後やりたいこと

会社設立から今日まで

萩原 現在私たちは、各メディアの社長や編集長といった上層部の方々から現場の編集者まで、幅広い層の方々と毎日のように話し込みをしています。可能な限り多くのメディアとつながり、クリエイターの作品の出口をつくっていきたい一心で動いています。

加藤 メディアの方々に私たちがしていることを説明すると、最初は「競合になるのでは」と心配されることがありますよね。あくまでも私たちは、メディアとクリエイターの間に立つ役割を担いたい。そのためにこちらからクリエイターを紹介して、一緒に相談しながら作品をつくっていきたい。そういう説明をすると、かなり好印象を持ってもらえます。最近では、企画会議も始まっていますよね。

萩原 そうですね。社内での編集会議はもちろん、出版社やプラットフォームなどのメディア各社様との定例的な会議も少しずつ始まっている状態です。

今後行っていくこと

萩原 すでに登録済みのクリエイターの方々から、メールや登録フォームなどを通じて、さまざまな要望をいただいています。例えば、「企画をみてほしい」「相談に乗ってほしい」「他のクリエイターさんと交流したい」といったものです。

このようなご要望に応えるため、先ほどもご紹介したイベント「Tales Open Door」を開催することになりました。こちらのイベントについて、もう少し説明をさせてください。

当日は私も1日現地に常駐し、参加されるクリエイターの方々から企画や創作に関する相談を受け付けます。ただ原稿など長いテキストを事前に精読するのはむずかしいため、その場でお伺いし、お答えできるようなご質問に限定をさせていただくことになると思います。そのほか、快適に執筆できるスペースを開放したり、業界第一人者のトークイベント&懇親会を行ったりと、参加すれば創作のモチベーションアップにもスキルアップにもつながるイベントにしたいという想いで、準備をしている最中です。また、この「Tales Open Door」は定期的に開催予定となっていますので、8月18日は参加がむずかしいという方も、その次の開催を楽しみにお待ちください。

参加をご希望の方は、まず、弊社のクリエイター登録(下記にご案内あり)をお願いしています。また、クローズドなリアルイベントとなるため、配信などは行いません。その分、かなり濃い内容の話が聞けると思いますよ。
もちろん、まだプロとしての実績がない方でも登録はOKです。仕事をする上での注意点や役立つ情報など、先輩クリエイターの知恵をたくさん聞ける場にしたいとも考えています。プロを目指す方も、すでにプロとして活躍している方も、ともに学べて、交流できるようなイベントになればと思っています。

▼クリエイター登録フォーム

▼企画/原稿持ち込みフォーム

※Googleアカウントへのログインが必要になります。フォームを使用しない持ち込み方法や詳細はこちらの記事をご覧ください。

質疑応答

ここからは視聴者のみなさんからいただいた質問に、お答えしていきます。

——預けた企画を同時並行で他社へ持ち込んだり、コンテストに応募することは可能ですか?

可能です。弊社へ応募したあとも、自由にコンテストへの応募や営業をしていただければと思います。もちろんnoteで開催されているコンテストに応募いただいてもOKです。

——企画/原稿持ち込みフォームに応募したあと、受付完了メールはきますか?

フォームを開設した当初は、完了メールが届く仕様になっておらず、一度登録済みのみなさんには、追って全員完了メールを送付させていただきました。現在はフォームでご登録いただくと、自動的に受付完了メールが届く仕様になっています。一度も連絡が来ていない方はメールアドレスが間違っているか、迷惑メールに分類されている可能性があるので、ご確認いただけますと幸いです。

——御社がメディアに企画をプレゼンする上で、強い分野(ジャンル)などはありますか?またはこの分野は弱いので、企画の実現がむずかしいなどがあれば、知りたいです。

Tales & Co.には、私のほかにも、小説、漫画、ボイスコンテンツ、グッズ、ゲームシナリオのディレクション、世界観設定など、さまざまなジャンル・媒体で実績のある編集者が揃っているため、特に弱いジャンルというのは思い当たりません。また、さらに弊社の活動に賛同いただける編集者は増やしていきたいと考えていますので、もしこの辺のジャンルへの営業を強めてほしいなどのご意見があれば、ぜひ教えてほしいです!

——持ち込んだ企画の実現がむずかしそうな場合は、その旨の連絡をもらえますか?それとも連絡が来ないことで察する感じになりますか?

持ち込んでいただいた企画について、どれくらいの期間に達したらお戻しする、というような基準は、いまのところ考えていません。お預かりした企画はリストに入れ、各社を回るなかで、適宜プレゼンをしてまいります。そうして、形になりそうな状況になればご連絡をする、というフローとなります。

もし作家さん側のほうで営業をした結果、別の会社さんで成立が見込めそう、などの理由から企画を引き上げたい場合は、遠慮なくご連絡ください。そうなったからといって、お付き合いをやめるというようなことは絶対ないので、ご安心ください。

——小説を書いていますが結果を出せていない者です。それでも登録しても大丈夫ですか?

今後プロとして創作に携わっていきたい方であれば、ぜひ登録ください。

——小説やドラマ、映画の企画の買い取りはしていただけますか?

現状、買い取りは考えておりません。

——クリエイターからイベント企画の持ち込みは相談できますか?無償でイベントスペースなどをお借りすることはできますか?

いま配信をしている場所が「note place」というイベントスペースになるのですが、こちらについては、クリエイター登録をしてくださった方々であれば、サイン会をしたい、ファン向けのトークイベントやりたいといったご相談など、前向きにご協力を検討させていただきます。

——業界で忌避されている題材などは、持ち込んでも大丈夫ですか?

私たちは特定ジャンルの編集部ではなく、小説、漫画、映像など、各メディアと連携しながら、出口を広く持てる部分が強みだと思っています。どんな題材かにもよりますが、まずはフラットな目線で、一緒に話し合えるとうれしいです!

——原稿を持ち込むのは、Webサイトで掲載済みの作品でも大丈夫ですか?

基本的に他社さんで書籍化などが決まっている作品などでない限り、大丈夫です。

小説の書籍化は決まっているけれど、同作で漫画化の相談がしたい、などの場合は、書籍を出される出版社にご相談いただいた上であれば、我々にコミカライズの営業を預けていただくなどの方法もありえるかと思います。

——遠方在住でもオンラインなどで対応していただけますか?

打ち合わせに関しては、普段からオンラインでもさせてもらっていますので、まったく問題ありません。ただ、「Tales Open Door」に関してはクローズドで行うイベントということもあるので、今回は対応をしておりません。ただ、ニーズがあるようでしたら、技術的な問題も含めて、今後検討していきます。それと、いつかは地方遠征イベントもしたいですね。

——原稿が完成していない段階で、何々のジャンルを書きたいという要望は、実績がある作家でないとむずかしいですか?

実績の有無に限らず、原稿が完成していない作品を形にするのは、なかなかハードルが高いですね。ですので、一度書き上げてもらうことが望ましいと考えていますが、ケースバイケースなこともありますので、ぜひリアルイベントなどで直接ご相談いただければ、より具体的なご提案もできるかもしれません。

▼説明会のくわしい内容が気になる方は、動画のアーカイブをご覧ください。


登壇者

萩原猛(Tales & Co.株式会社 代表取締役社長)
株式会社ぎょうせい、株式会社幻冬舎コミックスを経て、富士見書房(現KADOKAWA)に入社。ドラゴンブックデスク、ファンタジア文庫副編集長、富士見L文庫初代編集長、カドカワBOOKS初代編集長、カクヨム初代編集長を歴任したのち、クリエイターの新しい活躍の場を開拓するため、2017年に退社。同年、バルス株式会社に創業メンバー(取締役CCO)として加わる。2022年にnote株式会社にも参画し、コンテストの整備などを通じてnoteから商業出版に至るルートを拡張する業務に従事。

主な立ち上げ担当作は、以下の通り。
<ライトノベル>
『冴えない彼女の育てかた』『Only Sense Online -オンリーセンス・オンライン-』『ぼくのゆうしゃ』『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』『レジェンド』
<キャラクター文芸>
『かくりよの宿飯』『紅霞後宮物語』『浅草鬼嫁日記』
<オリジナルアニメ>
『戦翼のシグルドリーヴァ』『リコリス・リコイル』『Engage Kiss』
<ゲーム>
『テイルズ オブ ルミナリア』『Link!Like!ラブライブ!』

加藤貞顕(Tales & Co.株式会社 取締役 / note株式会社 代表取締役CEO)
アスキー、ダイヤモンド社に編集者として勤務。日本を代表する編集者として『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海)、『ゼロ』(堀江貴文)、『マチネの終わりに』(平野啓一郎)などベストセラー作品を多数手がける。2012年、コンテンツ配信サイト「cakes」をリリース。2014年、メディアプラットフォーム「note」をリリース。